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Type:Photo Studio + Shop/Location:Kamakura,Kanagawa,Japan/Design:2020/Construction:2021/ Contractor:Kawaguchikenchiku, armhaus / Total floor area:35.64m2
【コケーシカ / 憩写真館】
鎌倉の裏通りに位置する、こけしとマトリョーシカの専門店・コケーシカはオープンして約12年が経過していた。店主で写真家詩人/沼田元氣氏より、外壁・庇補修と共に店舗の半分を長年の夢であった写真館にしたいと依頼を受けた。建物は約20年前に中村好文氏が設計されたコンパクトながらも吹抜けや階段に特徴がある木造3階建て。プランにおいては店舗と写真館をどのように区分するかの検討を重ねたが、最終的には吹抜けに合わせて建物の中央で分ける計画とした。
この裏通りは鎌倉駅から長谷の大仏に繋がるバス通りから一本入っており、地元住民にとっては散歩や通勤通学に丁度良いバイパスのような役割を果たしている。そんな裏通りに面するショーウィンドーは、写真館のアイコンでもあり、垂直に写真を展示することが求められるが、それだけではない機能を今回は付加した。裏通りは建物の北側に位置するために、アトリエやギャラリー等で好まれる均質な北側採光が期待できる。この北側採光を必要に応じて写真館に取り入れることはできないだろうかと考えた。ショーウィンドー内の壁面を透過しながらもレフ板のような役割が果たせる型板ガラスとし、更に写真館のエントランス両脇の曲面に合わせて型板ガラス自体が横回転することで光量の調整も可能である。
店舗と写真館の間仕切りは同じく光を透過する障子と商品のこけしやマトリョーシカを陳列できるスライド棚。スライド棚の写真館側は銀色の襖紙を貼ることで、こちらもレフ板の役割も果たす。
襖紙の反射や障子紙、型板ガラスの透過率の違いから、微細な変化が生まれる光の箱をつくりだし、インテリアにおいてはもちろんのこと、その変化が僅かながらでも町にも波及することを目指した。